トッケビ2次続編2 第2話 盟友との再会

シンは後日、メモに書かれた住所を訪れた
そこは、教会だった

 

「あ!シンさん!! こっち、こっち」
ウンタクに似たその子が、先に気がついて声をかけた

 

「やあ・・」
シンは少し照れくさそうだった

 

「早速来てくれたんですね、ありがとうございます!
私もあれから写真の人の事が気になって仕方がなくって」

好奇心からだろうか、シンが来た事がとても嬉しそうだった

 

「さあ、中に入って下さい
兄を今すぐ呼んできますので、ちょっと待ってて下さい」

その子は走って、兄を呼びにいった

 

(あまり、長いはしたくない場所だな・・)

シンは居心地が悪そうに椅子に腰掛け、少し待った

 

「お待たせしました シンさん!兄です!」
その子は一人の男を連れて戻ってきた

 

シンはそのまま立ち上がり振り返って兄と呼ぶその男を見た

 

(<男の名>?・・・)

 

その男は眼鏡をかけた若い神父だった

写真にサニーの隣で一緒に映っていた男と同じ印象であった

 

「はじめまして、シンさん
やっぱり、私の顔に見覚えがありますか」

その神父は微笑みながら、そう質問した


シンは少し考え込んでしまい、黙って首だけをかしげて答えた

 

シンは見覚えがある物が視界に入り、聞いた
その神父は胸から下げている十字架と一緒に、緑の指輪を首から下げていたのだ

 

「その指輪は・・」

「この指輪の事もご存じなんですね、やっぱり」
神父は指輪の事もシンが知っているだろうと予想はしていたようだった

 

「この指輪、祖母の形見なんです
私の祖母は、皆にサニーと呼ばれていました」

 

その神父は、あのサニーの孫だった

 

「サニー・・いや、おばあ様から、私の事を何か聞いていたのですか?」
シンは、その神父がサニーの身内である事がわかり、サニーからなんらか自身の事を聞いており、それで声をかけたのだと理解した

ただ、どうしてその兄妹が自分の知っている者と同じ姿をしているかはわからないままだった


神父は、その理由を説明しようとしたが、一端止め、

「ほら、今日は子供達と遊ぶために来たんだろう
早く言って上げなさい」
神父は横で必死に話しを聞こうとした妹と呼ぶその子に声をかけ、この場から出て行くよう、暗に伝えた

 

「え〜〜」
その子は不服そうだった

 

「あ〜あ〜、また今度、教えて下さいね、じゃあね、シンさん」
気になっていた話がやっと聞けると思い、ワクワクしていたのに追い出されたので少しふくれながら出ていった


「あの子、いい子でしょ?」
神父は話しを再開した

 

「ここは身寄りのない子を引きとって育てていまして、あの子もここの出なんです」
「私は本業が別にあるのですが、縁があって月に何回かだけ神父をやってまして、こうして顔を出しているんですが、あなたと会える今日と重なって本当にラッキーです」

「それより・・・先の話の続きですが、、」
神父はそういって、眼鏡を外した

 

「二人しかしないんだから、この方がいいだろう、なあ、シン」
神父は突然、その話い方を変えた
それは、シンがよく知る昔の幼なじみのその声、その口調だった

 

「お前!!やっぱり<男の名>か!」
シンも、昔の呼び方にした

 

「そうだよ、俺だよ」
神父は先とは別人のようだった
「実は今度もし、お前に会ったらぶん殴ってやろうとずっと思ってたが、今はこのなりだからな、止めとくよ」

 

シンは涙を浮かべ、神父に抱きついた
「そうか、生きていたのか、そうか、、そうか、、」

 

「おいおい、俺は男に興味はないって
それに、生きているわけがないだろう、あれから1000年近くたっているんだから」
神父はそう笑って、シンに答えた

 

シンは神父の両肩をつかみ、尋ねた
「お前、、どうしてここに居る、それにあの写真、、、まさか、お前も俺と同じ・・」

 

神父はシンが言い切る前に答えた
トッケビじゃないよ、昔はそうだったけどな
今は普通の・・人間だよ」
そういって、また笑った

 

シンは神父が「トッケビ」と口にした事も気がかりだったが、なぜ人である者が自身の全てを知っているのか不思議でならなかった

 

「不思議に思っているだろ?
お前は昔から自身がクールなつもりでも、全部顔に出てるんだよな」
神父は色々考えているであろうシンを、少しちゃかした

 

「最近、あるきっかけで、前世を全部思い出したんだ
まあ、見た目も昔のままのようなので、俺自身も驚いているけどな

受け入れるのに少し時間がいったよ」

「そうか、、あの後、お前達はどうなったんだ・・・」
シンは過去の事を思い出し、王に殺される前に別れた時の事が気になって聞いた

 

「・・・」
神父の顔が一瞬曇った

「全員、死んでいたよ、妹も含め村の全員が・・
俺自身もそこで一度死んだ・・・」

 

「すまない・・・」

シンは話を聞き、奥歯をかみしめた

 

「いや、いいんだ、もう忘れろ
あの時はあれしか選択肢がなかったし、そういう時代だったんだ
今となっては誰かが悪いわけでもないし、シン、お前の責任でもない」

 

そう聞いてシンはまた、神父を抱きしめた

 

「だから止めろって、ベタベタするのは」
神父はそういって、軽くハグしたまま、軽く背中を手で数回叩いた

 

先に追い出された神父の妹は、少し離れた建物の窓越で二人の姿をみていた

(ほら、やっぱり知り合いなんじゃない! 良かったわ仲よさそうで)

二人が懐かしそうにしているのを、妹は一緒に喜んでいた

 

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