トッケビ2次続編2 第11話 少年

「え?これ、まだ使えるんですか?」

死神は点くはずもないスマートフォンンの電源が入り、それも2台同時だったので驚いた


「すごいだろう、手品だよ、手品
ほら、普通に使えるから中身を見てみな」
神父はそういって、1台ずつ、シンと彼氏に渡した


「一応、ばあさんの私物で大事な思い出だから遠慮してみてくれよ、プライバシー!プライバシー!」
渡された二人はそういう神父の話を聞くまもなく、中を見始めた

 

「??俺??」
彼氏は渡されたスマートフォンの画像データに、自分が写っている写真を見つけた
「そうさ、死神、お前だよ」
「サン??それにこの中の女の人、サンにそっくりだ」
彼氏は自分と彼女とそっくりな二人が、仲よさそうにしている写真を見ていた
「俺のばあさん、今のお前の彼女にそっくりだろ?
お前はな、当時、俺のばあさんといい仲だったんだよ
おかげで、当時の俺はふられたんだけどな」
神父は冗談を言って、ちゃかした

 

「すまなかった・・」
シンは彼氏と違い、もう一方のスマートフォンの中身を見て、少し落ち込んでいた
「そっちは俺が借りていた方だ、下手だろ?文章
当時の俺は話せなくて、筆談していたらしい
紙と鉛筆しか使えなくって、機械もんの操作は不慣れだったようだ」


「・・・」
「おいおい、シン!
ほら、だから前もいっただろう、昔のことは気にするなって」
シンは王の裏切りと自身の判断で周りを不幸にしてしまった事をまた思い出していた
それに加え、神父が当時トッケビになってからは声を失い、長い間、別の場所にいた事、自身が当時の神父、友である男の存在を知らなかった事が、余計に後悔の念を強くしていた
「お前はさ、あんまり外を出歩くやつじゃないからさ、俺の事を知らずにいたのは仕方ないさ
出かけるといったら、カナダぐらいだろ?」
神父はそれを察し、気さくに振る舞った

 

「このスマートフォンの中身を見て、お前は全部を知ったんだな」
「ああ、そうだよ」
「ただ・・・、このスマートフォンの中身を見たとしても、記憶が戻ることはないはずだ
今のお前はどう見ても当時のお前だ
それはどうしてなんだ?」
シンは神父が姿だけではなく、全てが当時の自分の親友のままでいる事が不思議だった

 

「ああ、そうさ、俺は昔からの全ての記憶を取り戻している
お前と同じで、ずっと生き続けているようだよ」
「じゃあ、トッケビではなくなって人間として生きているお前が、どうやって記憶を取り戻したんだ?」
シンは神父に尋ねた

 

「それは、ここにおられる女王様のおかげです」
そう、冗談まじりに、隣に座る赤い服の女の肩に、手を回した


「私が初めて、あなたと会った頃から話してあげたら」
赤い服の女も親しそうに微笑んで、神父の方を見ながら言った

 

「そうだな、そうしよう」
神父は自分の前で手のひらを組み、シンの方へ少し前のめりになり話はじめた


「シン、実はな
俺は子供の頃、お前に一度会っているんだ」
「子供の頃に?」
「ああ、そうさ
お前はまったく、気がつかなかったがな

あの、墓が並ぶある丘の上でだよ
そう、あの時もお前はいつもの本を読んでいたよ」


「・・・・」

「思い出さないか?
昔いただろう、一人、突然話しかけてきたヤツが
この間、俺の妹が話かけたように」


「・・・・」
シンはしばらく黙って、永い記憶の中を探った

 

**回想*****************

 

シンはいつもの丘で、墓石の前に座り、本を読んでいた
「おじさん!!」
シンは、自身へ声をかけてくる方へ振り向いた
そこには見覚えのない、メガネをかけた少年が一人、立っていた


(誰だろう。。。ここで知り合いに会うはずもないんだが・・)


その少年は目が合うと、走って寄ってきた

「こんにちは!今日もここで本を読んでいるんですね」
「あ、ああ。。。そうだよ、習慣なのさ」
「それって、詩集ですよね?」
シンは手に持った本を一度閉じ、少年に尋ねた
「・・・君は。。どこかで一度会っているかな?」
「いえ、はじめてです!」
「そうか・・・」
「今日は学校の行事でここに来たんです」


(ああ、うちに泊まりに来た学生か)

シンは自身が所有する宿泊施設に泊まっているであろう学生だと、理解した。


「おじさん、ここの場所は好きなんですか?」
「そうだな。。好きだよ」
「へ〜、そっかあ」
その少年は周りをうろつきながら、一人、楽しそうにしていた
「ここって、お墓なんですよね?たくさんの墓石があるし
ここにいる人はみんな、知り合いなんでしょう?」
「そうだよ」
「大切な人のですよね」
「そう、その通りだよ」
シンは少年のペースで、正直に受け答えしていた


少年は足を止めて、シンの方を向いて聞いた
「あのお、おじさん・・おじさんの名前は、、、シン っていいますか?」

シンは聞くはずもない自分の名前を聞いて、少し驚いた


「??!!、そうだが、、、やっぱり以前に会っているのかな?」
「へへ・・いえ、知った人にそう聞いたんです
今日はここに来れてよかったです!じゃ、もう戻ります!お邪魔してすみません!」
少年はそう言うとそのまま、丘を駆け上がった


(ホテルの従業員が誰か喋ったのか・・)
シンは特別不信感もなく、詮索はしなかった
シンはその場所に座り、また本の続きを読み始めた

 

少年は丘から離れてしばらく走ってから立ち止まり、振り向いてシンの視界から消えたであろう事を確認した
少年は手に、木箱を持っていた
興奮している自分を落ち着かせながら、片方の手で蓋をあけて、中をみながらつぶやいた


「おばあちゃん、いたよ!、間違いないよ、あの人だ!
ああ、本当に会えたんだ!
やったよ、おばあちゃん!」
少年は中に入っているサニーの写真にそう、言葉をかけた

 

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第1章

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