トッケビ2次続編2 第13話 縁

**回想2 青年期********

 

「ばあさん、久しぶり」
その青年は木箱と、もう片方の手に小さな花がついた枝を持って暮石の前にいた
「あれ、やっぱりあの人、来ているんだな」
青年は、手に持った花のついた枝と同じ物がすでにそえられているのに気がついた
「おかげで、会えましたよ、シンっていう人に」
そういって、すでに添えられた枝の横に、自分が持参した枝をそえ、墓石に向かって手をあわせて目をつむった


「背がのびたわね」
後ろから女の声が聞こえ、少し嬉しかったのか、青年は薄く笑みを浮かべて目をあけ、振り向いた
そこには、少年の頃に会った時の姿そのままの、赤い服の女が立っていた
「お久しぶりです」
「あら、驚かないのね、今度は」
「ええ、もちろん
だって、今、ばあさんの暮石に向かって、赤い服をきた女性と会えるようにお願いしましたから」

その青年は笑いながら答えた
「ふふ、すっかりませたわね」
女も一緒に笑った


「それで、あれからどうなの、結局会えたのかしら」
「はい、お陰様で! 写真そのままの方でした」
「で、感想は?」
「う〜ん。。。ビックリするかと自分で思ったんですが、なぜか、ただ嬉しかったです
会えて、嬉しかった」
青年は、その時の事を満足そうに話をした
「そう、それは良かったわ」


「おねえさん、、あの、今日これからご予定ありますか?」
「なくても、あるって言うわよ」
「意地悪だなあ、、続き、また教えて欲しいんです、この箱の中身の事
ゆっくり、もっと話が聞きたい・・・シンという人の事以外の事、、、おねんさんもまったく歳をとらない事も」
「そうねえ・・」
「ダメですか?」
「いえ、そうじゃないのよ
私は全部を知っていても、傍観するしかないのよ
私自身の役目は、強く願う人間に対して助力するだけの役目だから」
「強く願う?」
「そうよ、私自身も、その思いを受けて、それからできる事が後からわかるのよ」
「・・・」
「むずかしいかしらね、預言者でも、全能の神でもないって事よ
なので、あなた自身がどうしたいかわからない限り、私は何を聞かれてもそれには答えられない」
「気持ちか。。。それは、思いが強ければ叶うという事でしょうか」
「ええ、当人の心の底からの願望ならね」
「じゃあ、、、」
「じゃあ、、あなたは何を望むの」
女は青年の目をジッと見た
「えっと、まずは僕とお付き合いして下さい!」
「え?」
「おねえさん、僕の彼女になって下さい!」
「・・・」
女は少し間をおいてから、大声で笑った
「それが、今、あなたが強く望んでいる事なの、本当に?」
「真剣ですよ、僕は」
「強く願ってる?本心かしら?」
「はい、勿論ですよ、そう感じませんか?」
「だって、私、普通の人間ではないのよ?それでも?」
「そんなの、僕にとってはなんの障害にもなりません!」
「変わった子ね、やっぱり、彼女の血筋だわね」
女はそう言って、サニーの暮石を見た
青年も女の視線を追うように暮石を見た
暮石の傍の枝についた花が、ヒラヒラと数枚、空に舞っていた

*********************************

 

シンはそれを聞いて、飲もうとしたコップを持ち上げた手が止まり、
彼氏は二人の顔を交互に何度も見ていた

「お前、、、付き合うって・・・、相手がいくつか知っているのか?」
「シンなんだよ、お前だって、花嫁がいたんじゃないか
お前こそ、何歳なんだ」
「・・・」
シンはそれを言われ黙ってしまい、コップを再度、口元にやった
「で、記憶の話なんだが、ほら、付き合うって事は、男女の関係になるわけだろ?」
「!!、、お前なあ、、神父のくせに、いいのか?」
シンは飲みかけのものを吹き出しそうになった
「はは、そんなの、いつの時代の話だよ
今はな、すべてを愛するんだよ、人であろうとなかろうと」
そういって、神父は女の方を見た
女は、黙って笑みを浮かべて微笑み返した
「それで、前世含めての記憶を全部思い出したってわけさ、これで理解してくれたかな?」
「ああ、まあ、、分かったよ」
シンはとりあえず、納得したようだった


「・・・そろそろ、こっちに呼んだらどう、あの子」
女は神父に声をかけた
「・・・そうだな、もう大体の話は済んだしな」
「・・・あれで変装しているつもりなんだろうか」
シンも気がついていた、
「え???」
彼氏だけが、何の事かわからないでいた

 

神父は彼氏に顎で、あっちの方向を見るように言った
彼氏は大きな窓の向こうの物陰に、誰かが立っているのが見えた
大きめのサングラスとマスクをして、手に持った雑誌で顔を隠そうとしている女性がいた

 

(???サン?)
彼氏は驚いた、その女性はどう見ても彼女だった

 

「彼女もだけど、気づかない彼氏はもっと天然よね」
「ああ、ほんとその通りだ」
女の意見にシンと神父は一緒に首をふって同意した

 

「死神、お前、GPSで移動先全部つかまれてるんだろ」
「え?そうなんですか?」
「俺も昔そうだったから、多分間違いないよ
彼女は心配ごとに対しては、いつも用意周到なんだよ」

「もしかしてこのスマートフォンも・・」
彼氏は木箱の中の古い同じ機種で同じ色のスマートフォンに目をやった


「そうだよ、当時の彼女はそうしてこれで、俺を助けてくれたんだよ
ほんと純粋で、いいやつなんだ・・
ほら、行ってやれ、今日の話はもう大方すんだから
くれぐれも、話の内容は彼女には内緒だぞ」
「は、はい、勿論です
ありがとうございました」
彼氏はそういうと、急いで膝においていた上着を着て、会釈をして店を出た

 

ブログ村 韓ドラ二次小説

 

次話

 

310sh1.hateblo.jp

 

最初

310sh1.hateblo.jp

 第1章

310sh1.hateblo.jp