トッケビ2次続編2 第16話 つかの間

「旦那様、お客様がお越しです」
「客?今日は誰かを呼んだ覚えがないんだが。。誰だ?」
「こないだいらした神父様の妹君のようですが・・・」
「え?」
シンはそう聞いて、すぐに玄関へ向かった

 

「や、やあ、今日は突然、どうしたんですか」
シンは高揚している自分がわかり、クールに振舞おうと必死だった
「こんにちわ、シンさん!」
神父の妹は屈託のない笑顔で、挨拶をした

「兄さんが、シンさんが渡したい物があるとかで、取りに行くように言われたんですが。。
聞いていますか?」

(あいつ・・また、適当な事を)
シンは勿論、何も聞いていなかったが、
ただ、会いに来てくれた事が嬉しく、神父を怒る気もまったくなかった

 

「えっと・・・あ!、そうそう、渡したい物、あったよ
どうぞ、中に入って下さい」
シンはとりあえずその場をにごして、神父の妹を中に通した

 

「こないだは夜だったけど、昼間来てもやっぱり広くて綺麗なお屋敷ですよね」
「ありがとう、お茶でもいれようかな、その辺にかけてください」
「あ、スミマセン、受け取ったらすぐに帰りますのでお気遣いなく、
そうだ、私もお茶をいれるの手伝います!」
妹はそういって、キッチンに向かうシンに付いていった

 

「お客さんに手伝わすの、申し訳ないなあ」
「そんな、全然気になさらないでください、こっちが緊張してしまいますよ」
「はは、じゃあ、お言葉に甘えて手伝ってもらおうかな」
そういって、廊下を一緒に歩いた

 

「あれ?・・この場所・・私、どこかで見た事あるような・・」
「・・・」
シンは、記憶の断片でも思い出したかと思い、しばらく黙って言葉を待った


「え〜っと、、、、、あ!そうだ、兄さんのいたずらした写真の場所だわ」
妹は以前、兄から見せてもらった小箱の中の写真を思い出していた
「な〜んだ、あの写真、ここで撮影したものだったのね、シンさんもぐるだったの?」
「え?いやいや、そんな事はないよ、あの写真は・・・」
シンは、神父が持っていた写真が実は何十年も前にここで撮影されたままの事実であるとは答えられなかった
「へへ、あんなイタズラするなんて、本当、シンさんも兄と一緒で子供っぽいとこ、あるんですね」
「はは、まいったなあ。。」
シンは妹の過去の記憶がまだない事に安心したようで、すこし残念にも思っていた
「さ、お茶を入れて席に戻ろう、渡したいもの、先に取ってきますね」
「はい!」
シンはそういって、自分の部屋に向かった

 

シンは先に席に着いていた神父の妹に手に持っていた物を渡した
「これ、どうぞ」
「?これは、、葉っぱ?」
「はは、そうだよ、葉っぱだね
これは葉っぱをシオリにしたものなんだ、持っているだけで願いが叶う葉っぱなんだ」
「そうなんですか?お金持ちのシンさんが言うのだから、ご利益ありそう!
ありがとうございます!大切にします!!」
その葉っぱのシオリは、シンの花嫁が生前、持っていた物だった。
(これくらいしか思いつかなかった。。。)
シンは何を渡していいかわからず、とっさの思いつきだったが、自分が大切にしている物を渡そうと決めた
シンは席に着き、妹としばらく会話を楽しんだ

 

「ところで、今日はあいつ・・兄さんは何をしているんだい」
シンは神父の事を聞いた
「今日は夕方くらいから、お墓まいりみたいです」
「お墓まいり?、ああ、おばあさんのお墓だね」
「いえ、それが違うんです、今日は」
「違う?」
「はい、兄さんは 『昔のみんなの墓』 って言ってました、知ってます?シンさん?」
「昔の?・・・みんな・・・」
シンはそれが、遠い昔、自身が将軍であった頃の身内達、、、王やその妃であった自身の妹も祀った慰霊碑の場所だと気が付いた
(あいつ、行ってくれてるんだな)
シンはそれを聞いて嬉しく思った
「ああ、なんとなくわかるよ」
「ほんと、シンさんは兄の事はなんでも知ってますよね、私なんかよりずっと詳しい」
「はは、いや、あいつは単純だから」
シンは壁にかかった時計を見た
(今からなら間に合うかな)
「じゃあ、今日は教会まで送りましょうか」
「本当に?ありがとうございます!バスと徒歩じゃ、結構遠くて・・」
「はは、来てくれて本当にありがとう、じゃあ、一緒にでましょう」
そういって、二人は一緒に玄関を出た

 

神父は一人、石碑の前に立っていた
周りのすべての石の前にロウソクの火を灯し、王と妃の石碑の何段か後ろにある、過去の自身の石碑を見ていた

 

「やっぱり、ここか、間に合ったみたいだな」
シンが後ろから声をかけた
「ああ、昔をちょっと思い出していたんだ」
神父はシンの方を軽く振り返り、また石碑の方へ向いた
シンが神父の横に並ぶ
「ここには、何度か来てくれているのか?」
「・・いや、実は今日が初めてなんだ」
「初めて?」
「ああ、過去の記憶を思い出してから場所はずっと知っていたんだがな、中々、ふんぎりがつかなくて、、すまない」
「・・・そうか、確かに、ここには王もいるしな、、、」
シンは、王と妃の石碑の方に目線をやった


「今日は、妹に会えたのか?」
「ああ、家まで来てくれたよ、渡すものなんて何も準備していなかったから、驚いたよ」
「そうか、、、楽しく話せたか?いい思い出にはなったか?」
「あ、ああ、お陰様で
次からは、前もって連絡くれよな」
「・・・シン、、、すまない」
神父はいつもより声のトーンが低かった
「はは、いやいや、俺は何も怒ってはいないって」
シンは神父がきっと、この場所に来て色々思い出しているんだろうと、逆に気遣った

 

「いや・・・それだけの事じゃないんだ」
「ん?なんだ?、、、それより、何をもっているだ、それ?」
シンは、神父が手に持っている黒くて細長いアタッシュケースが気になり聞いた
「これか・・・そうだな、、再出発の道具だよ」
「再出発?」
神父は片膝をついた足元にそのアタッシュケースをゆっくり置き、左右のロックを外して開けた

 

「!!!!お前、それは!!」

そのアタッシュケースの中には1本の剣が入っていた
その剣は以前、シンがトッケビである頃に胸に刺さっていた剣だった
シンはとっさに後ろに数歩引き、身構えた

 

「さすがに覚えているよな

そうさ、お前に刺さっていた剣だよ」
神父はその剣を片方の手で握って取り出した

 

「どうしてお前がそれを持っている?何かしようとしているのか?」
「ああ、そうだよ、何かする気だよ」
神父はそういうと同時に、剣先を下に向けたまま、両手で柄を握った

 

「だから、謝ったんだよシン、すまないと。。。」
「は?何を言っているんだ、さっきから!」
「今からお前を、この剣で殺すから謝っているのさ」
神父はそういって、剣を振りかぶり、剣先をシンの胸に向けた

 

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