トッケビ2次続編2 第18話 願い

**数時間前

 

「あれ?あの人・・・」
彼女は視界の少し遠くで目に入った一人の老婆に見覚えがあった
「誰だい?知り合いかい?」
「うん、ほら、この間話したでしょ
占い師さんよ
この手のひらを見てくれた」
「ああ、君の将来は幸福だと保証してくれた人だね」
彼氏はそう、優しく答えた
「そうそう、どうしてここにいるのかしら?先生〜!!」
彼女はその老婆のことを先生と呼んでいた
目は最初から合っているはずなのに、その老婆は何も気づいたそぶりもしない
彼女は聞こえていないのかと思い、彼氏の手をとって、老婆の方へ小走りに向かった

 

「先生、お久しぶりです!
覚えてくれてますか?ほらこの手、以前みてもらった者です」
彼女は名前よりも両手の手ひらの傷のような深い真一文字の手相を見てもらった方が覚えているだろうと思い、老婆の方へ手のひらを向けた


「・・・ええ、もちろん覚えているわよ。。。」
老婆は一言だけ、返事をした
「今日は彼氏と一緒なんです、紹介しますね、えっと・・」
彼女が彼氏の名前を言おうと彼氏の顔へ視線を向けたが、表情が少しこわばっていると感じて少し躊躇してしまった


(ん?緊張しているのかしら?)

 

「その箱、、、」
老婆は両手で小さな木箱を持っていた
その箱は数日前、シンと神父、神父の彼女の赤い服の女(ヒト)と四人で話をした時に見た木箱そのものだった
「あなたは・・・」
彼氏は老婆の目を見て、気がついた
その姿は老婆であるけれど、目の前にいるのは、神父の彼女である事を

 

「この木箱・・・この木箱を拾ったのよ」
老婆のその言葉はどこか不自然で、今、とっさに作ったような話し方だった
老婆はそのまま、それを彼女に差し出した
差し出された彼女は、自然に受け取った


「何か入っているの?見てもいいかな、持ち主の手がかりわかるかもしれないしね」
彼女はそういって、木箱の蓋をすぐに開けた
彼氏は横でずっと黙っている

「あれ?これ、スマートフォンじゃないの? かなり古いものね、、
それも2つも入っているわ。。それと、」
彼女はスマートフォンの下にある裏返しの写真を1枚手にとった
「あれ??これシンさんじゃない? それに、神父さんの妹も一緒に写ってる!」
その写真はシンがトッケビであった頃にウンタクと一緒に撮った写真だ


「もう一枚は、、、ん??」
彼女はそれを見て少し黙ってしまった
「私???ちょっと、ねえ、これ、私??、それに、この横の男の人って、、神父さん・・かな?」
彼女はそういって、彼氏にその写真を見せた
その写真は、神父がトッケビであった頃に、彼女の前世であるサニーと一緒に撮った写真だ
「ああ・・それは、、」
彼氏はどう答えようか迷っていた
シンと神父からは前世での話はまだしないよう、口止めされていたからだ
「神父さんと一緒に撮ったのかい?」
彼氏は知らないふりをする事にした
「撮った覚えないんだけどなあ、、こんな服、私持ってないし。。。
それにこの写真、だいぶと古い感じするんだけどなあ、、」
「なんだろうね・・・それより、どうしたんですか?」
彼氏は彼女との話しを中断し、老婆に尋ねた

神父の彼女が老婆の姿で自分たちの前に現れ、木箱を持っている事を不自然に感じていた

 

「・・・・」
老婆はすぐには答えなかった
いや、答えられないようだった
「何か、あったんですね?」
「・・・・彼を止めて欲しいの、、きっと、後悔してしまうから」
それを口にした老婆の目は、少し悲しそうに見えた
「彼??先生って、彼氏いるんですか?」
彼女は事情を何もしらないまま、彼氏と老婆の顔を数回いったりきたりして様子を伺っていた
「どこにいるかわかるんですか?どうして、、あなたが行けないわけでもあるんですか?」
老婆は何も言わず、視線を下に落とした


「・・わかりました、じゃ、僕が今からすぐに行きます!」
彼氏は老婆のその表情から自分に頼んでいるんだと察し、行くべきだと判断した
その口調は力強かった
「え??今から行くって、どこに?なんで??」
彼女は二人を見て、不思議でしょうがないようだった
「場所、わかりますか?」
「たぶん、慰霊碑に二人でいると思うわ」

老婆はそう答えた
「慰霊碑ですね、わかりました! 今日のデートは中断にしよう、さ、行くよ」
「え〜!!行くって、慰霊碑って聞いただけでどこかわかるの?もう、わけわかんない!
先生、何か大事な事なのだけは分かるから、とりあえず彼氏と一緒に行ってきますね」
そう彼女が言う間もなく、今度は彼氏が彼女の手を取って、駆け出した

 

「ねえ、慰霊碑ってだけでどこかわかるの?これって、シンさんか神父さんのどっちかの落し物って事よね?」
彼女は駆け出しながら、彼の方を見て聞いた
「ああ、それは神父さんの大事な物だよ
慰霊碑ってのは、恐らく二人のお墓さ」
「?シンさんと神父さんのお墓??ねえ、この木箱もそうだけど、何か知っているの??」
「ああ、少しだけね
いつか、話はするよ
とりあえず、今は急ごう
あの人、、君の先生の感じだと、何だかやばい感じがするんだ」
「確かに先生、前にあったより元気はないような気がする・・・うん、わかったわ!」
彼氏は彼女がそれ以上の質問をせず、ついてきてくれると返事してくれたが少し嬉しく、彼女の方を向いて軽く微笑んだ
「ありがとう」

 

**慰霊碑の前で

 

「きっと、ここだよ、降りよう」
彼氏はそう彼女に伝え、一緒にタクシーを降りた
「お寺なのかしら?こんなところにあるなんて、知らなかったわ」
彼女はキョロキョロと周りを見渡して、彼氏に視線を戻した時、彼氏が首からぶら下げている以前に神父からもらった指輪に目が止まった
「あら?その指輪・・太陽があたっているからかしら、なんだか、光って見えるわ」
彼氏はそう言われ、自分の胸元を見た
確かに、少し光を放っているように見えた
「ふふ、呼ばれているんじゃない?」
彼女は冗談で、そういったが、彼氏は何か神妙な面持ちだった


「・・・先に見てくるよ、君はここで待ってて」
「は?一緒にいかないの、ここまで連れてきて!」
彼女は少しムクれたようだった
「・・・いや、ほら、ここの石段長いだろ?
もし、上に二人がいなかったら面倒じゃないか
だから、僕が先に見てくるよ」
「う〜ん、もう。。分かったわ、居たらすぐに呼んでね」
「ああ、勿論さ!」
彼氏は彼女には見られたらまずい事でもあるような気がして、そういうと一人、シンと神父がいるであろう上に向かって走っていった

 

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