トッケビ2次続編2 第22話 異変

「ここは・・・」
シンは重いまぶたをゆっくりとあけ、電灯の光を眩しく感じながら、つぶやいた
 
「おじさん!目が覚めたんだね」
「ドクファ?ドクファか?」
シンは声のする方に顔を向け、少し目を細めて相手を見た
 
「そうだよ、ドクファだよ
もう、ずっと目を覚まさないんじゃないかと心配したよ
不死身のおじさんが全然反応しないんだもの、ずっと心配してたんだよ」
ドクファは高齢で同じように身体が動かないにも関わらず、隣のベッドで一生懸命に声を出していた
 
「そうか、生きているんだな・・・」
シンはそういって上半身を起こし、ベッドに腰掛けた
「おじさん、本当に大丈夫なの?どこも痛かったりしない?」
ドクファは本当に心配そうだった
「ああ、大丈夫・・みたいだ、どこも不便はないよ」
シンはそういって自身の左胸のあたりを自分の右手で数回さすりながら答えた
 
「ドクファ、俺はいったいどうなったんだ」
シンは神父に剣で刺されたところまでは覚えているが、どうしてドクファの隣のベッドで寝ていたのかがわからなかった
 
「それが、。。覚えていないんだよ、ごめん、おじさん」
「覚えていない?」
「そうなんだ、誰かが運んで来てくれたみたいなんだけど・・
それが誰か覚えていないんだ」
「そうか・・・」
シンはドクファも高齢で物忘れでもしたのかと、それ以上は問わなかった
 
「それにしても、長かったよね、このままだとどうしようかと思ったよ
僕が先に死んでしまうんじゃないかって」
ドクファは少し落ち着いたのか、軽いジョークで少し笑みを浮かべて話を続けた
「どれくらい、俺はこの状態だったんだ?」
「えっと。。。半年、、それ以上だと思うよ」
「半年以上!?」
「うん・・・僕の記憶だから曖昧だけど・・・」
ドクファは自分の記憶力には自身がないようで、遠慮しながら答えた
シンはそれを聞いて、顔にふと手をやるとヒゲを蓄えているのに気がついた
そのまま窓の方へ向かい、薄く映る自分の姿を見た
歳はとっていないようだが、確かに、髪の毛は最後に自身で見た時よりもだいぶんと伸びているのがわかった
 
「出かけてくる!」
シンはふっと思い出したかのようにドクファの方を向いてそういって、すぐに部屋のドアへ向かった
「え?もう動けるの?」
ドクファはまた心配しているようだった
「ああ、すこし鈍いようだがこれなら動けそうだ
詳しいことは後で話をするよ」
そう言って、そのまま着替え、家を出た
「よかった。。本当によかった。。。」
ドクファは喋るために外した人工呼吸器を自分で口元に戻し、ゆっくりと目をつむった
 
 
(あいつ、会ったらすぐにでも説教してやる)
シンは神父のいる協会の前に車を止め、足早に入り口へ向かった
隣にある孤児院にいる子供に声をかけた
「やあ、今日は神父、、神父さんはいるかい?」
「神父さん?神父さんって誰??」
子供は不思議そうな顔をしている
シンは子供の顔の高さまで腰をおろし、もう一度聞いた
「胸に十字架をぶら下げた男の人だよ」
「・・・・」
子供は黙ってしまった
シンが困っていると、子供の向こうに孤児院の世話をしている見覚えのある女性が目に入った
シンは大きく手招きし、その人を呼んだ
「スミマセん、お忙しいところ
神父さんは今日、いらっしゃいますか?」
シンは愛想よくしたつもりだが、相手は怪訝そうな顔をしていた
「神父さん?ここは孤児院ですから、神父はいませんよ」
「いない?」
「はい、いません、昔からずっといません」
その人は、シンを怪しい人だと感じているようだった
 
「ずっと・・・あ、じゃあ、その妹さんは?今日はお休みですか?」
「妹??神父がいないのですから、その妹もいませんよ」
「妹も?いないだって?ずっと??」
シンは念のため、同じことを聞いた
「はい、、いません
どちらか別の孤児院とお間違えになってませんでしょうか?」
シンは相手が真面目に答えているのがわかり、同じ質問はやめた
 
「神父さんはいませんが、今日はシスターならいますよ」
その女性はかわりにそう答えた
「シスター??」
シンはまったく心当たりはなく、誰び顔も浮かばなかった
「礼拝堂の方へおりますので、良かったらそちらでお尋ね下さい」
「・・・ありがとう」
シンはわからないまま、とりあえず礼拝堂の方へ向かった
 
 
シンが中に入ると、先頭の席でお祈りをしている一人の女性が見えた
そのまま、ゆっくりと近づき、その人の隣にたった
「あの、、突然のお声をかけてしまい申し訳ありませんが、少しお時間いいでしょうか・・」
シンがそういい切ると同時に、その女性は軽くつむっていた目をあけ、自身の手を組んだまま顔だけでゆっくりと振り向いた
 
「!!!!」
シンはその顔に見覚えがあった
その女性は神父の彼女、赤い服を着た女だった
「ここで何しているんだ、、」
「ここで。。。お祈りをしているのよ
えっと、どちら様でしょうか?以前、どちらかでお会いしましたでしょうか」
「??」
シンはその声にも覚えがあった
間違いなく、赤い服の女だ
 
「なんだ、何かの冗談か?」
「冗談??」
その女性は不思議そうな顔をしていた
シンは自身が長髪でヒゲを蓄えているので、見間違えているのかと思い、顔を近づけていった
「俺だよ、シンだ」
「シン・・・シンさん。。。」
女性は少し考えて答えた
「ごめんなさい、私にはそのお名前の知り合いはいませんわ」
シンはその女性が嘘をついているようには見えなかった
こちらが強い口調で突然話かけたので、少し怯えているようにも見えた
 
「えっと。。。この協会には神父はいませんか?それと、その妹が一緒に勤めていませんでしたでしょうか?」
シンはまだ納得できないのか、少し不自然になった敬語で問い直した
「ええ、ここは孤児院で、子供達とシスターのみでずっとやってきています」
女性は淡々と答えた
「そ、、そうですか、、、失礼しました」
「いえ、お役に立てず申し訳ありません」
シンは半歩下がって、頭を下げた
 
(いったい、どうなっている? 二人はどこへ・・・)
 

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