トッケビ2次続編2 最終話 母

・・・・・

 

わたしの愛しい子

 

はじめまして

そして・・・・ごめんなさい

私の元に生まれてしまった事を先にお詫びをするわ

 

あなたはきっと、自分が他とは違うという事を幼い時に知る事になるでしょう

そのために、余計な苦労をしてしまうかもしれないわ

それも、ずっとずっと、長いあいだ・・・

 

これから大きくなるにつれて、何か自分が他とは違うという事で思い悩んだとき、

あなたは周りの全てを拒否するかもしれない

どうだろう、、あなたは反抗し、攻撃的になるかしら?

それとも、全てを拒絶して壁を作って閉じこもる事を選ぶかしら?

 

おかあさんはね、そういう時、自分を守るために孤独の方を選んだわ

何度も、何度も・・・

独りになる事で一旦、時間を止められる気がしてね

これ以上は辛くならないと思えたの

 

ただ、独りって長く続くと困った事もあるのよ

気軽なんだけど、頭の中で同じ言葉だけがずっと流れてしまうの

気がついたら同じ言葉ばかりが頭の中でグルグルまわるの

それがまた辛くてたまらなくなるの

 

ただね、安心して

それを止めるには解決策があるのよ

実は悩んでいると思っている私は、何も考えてはいなかったという事に気がつくの

辛い・苦しいと思う感情を、幼いあなたが知っている少ない言葉でどうにかしようとしても、何もかわらないという事に

起こった事に理由なんかない、って事にね

そうね、、、起こった事が全て答えとも言えるかもね

 

周りと違うという事は、それはあなたの個性であり、あなたの特技なの

それは、決して独りでは使えない道具なのよ

だから、全てを知ってしまった時、悲観したりする事もないの

あなたはその道具を使って一生懸命に生きるだけ

それだけで、後は周りが勝手に・・・

そう、あなたの周りにいる身近にいる人が、あなたを幸せにしてくれるわ

だから、悲しまないでね

 

どうぞ、幸せでありますように

神・・・神様、、、本当にあなたがどこかにいるなら、この子の事をずっと見守ってあげて下さい

最初で最後のお願いです

大切な我が子をどうぞ、よろしくお願いします

どうか、お願いします

 

・・・・・・

 

 

シスター・・赤い服の女はしばらく子供の耳元で何かをつぶやいた後、シンの声のする方へその子供を差し出した

 

「見つけてくれたのがあなたで良かったわ

これが、私へのご褒美なのかもね・・・この子のこと、お願いしていいかしら」

「もちろんだ、それより、早く病院へ行こう、すぐに救急車を呼ぶから!」

「私はいいのよ・・・このままお別れする事になるから」

「!!おい、しっかりしろ!!」

 

シンは子供を預かった反対の手で、女の手を握りしめた

「・・・」

シンはその手の感触に違和感を感じた

その手は・・・老婆のような手になっていた

よく見ると、顔もどんどんとシワが増え、老婆になってきている

 

「これが私の運命なのよ、私が生まれた時、私の母親も多分そうだったと思う・・・

私が生まれた時にはすでにいなかったから・・・」

 

女は薄くなっていく声で、話を続けた

 

「私の子はどっちかしら?やっぱり女の子?それとも男の子かしら?」

シンは目の見えない女にかわって答えた

「・・・男だよ、男だ!」

「・・・男?そう!それは、よかった、、、本当によかったわ」

女は満面の笑みを浮かべた

自分の子が女の子であった場合、また、自分と同じ人生・・・長い長い人生を負うことになるのではないかと、心配していた

男と聞いて、安心したようだった

 

シンは弱っていく女の様子に何もする術がなく、戸惑ったまま会話を続けた

「あいつはどうした?この子の父親はどうなったんだ?この子はやつの生まれ変わりなのか?」

シンは神父のその後を、元にもどった女からなんとか聞き出そうとした

「彼、、、彼は、そうね、、この子があの人の生まれ変わりではないって事だけは言えるわ」

「生きているのか?どこかで?」

「さあ、どうかしら、、、それは私にもわからないわ」

「わからない・・」

シンはくいさがろうとしたが、これ以上はやめた

目の前の人が、もう生き絶えるのがわかったからだ

 

「この子の事をよろしくお願いします

それともし、彼に会えたらなら、私は幸せだったとそう伝えて頂戴

ずっと幸せだったとわかったと。。。」

「ああ、もちろんだ」

「・・・ありがとう、、ありがとう、、、また会いましょう」

 

そういって、女は雪の中に溶けるように消えた

シンの腕の中で静かにしていた子は、それに気がついたように泣き出した

 

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