トッケビ2次続編2 第1話 私のこと覚えていますか

シンはいつもの場所に座り、いつもの本を読んでいた
時折ここを訪れ、昔に親しかった人、愛した人を思い出し、終わらない人生の支えとしていた

 

「ねえ!」

 

ある日、少し離れた場所から聞き覚えのある女の子の声、いや、忘れもしない声で呼びかけられた

 

「私のこと、覚えてる?」

 

シンは一瞬、我が目を疑った
その、声をかけてきた人は亡くなった花嫁、ウンタクとうり二つであった
それも、過去に始めてあった時と同じ姿をしていた

シンは本をすぐに閉じ、その場に置いたままその子に駆け寄った
ウンタクに似たその子は、向かってくるシンをジッと見ている

シンはその子の前に立つと、少しの間、相手の瞳をみて、そのまま抱きしめようとした

 

「ちょ、ちょっと待って下さい」

その子はそれを拒絶した

 

「あなたは私の事を知っているかもしれないけど、私は知らないので・・・
気を悪くしないで下さい、ごめんなさい」

 

その子の話し方は、どこか他人行儀だった
シンはそこで、冷静になった

 

(記憶がないのか・・・)

 

ただ、どうして声をかけたのか気にはなったが、とりあえず失礼を詫びた

 

「失礼、声をかけられたので知人かと。。
私が知っている人にあなたが良く似ていたので、、、申し訳ない」

 

その子はそのまま質問をした

 

「あなたは、シンというお名前ですか」

「え?やっぱり、私の事をご存じでしたか?」

 

シンは少し戸惑っていた
その子も同様だった

 

「実は、、身内から、この場所で本を読んでいる男の人がいたら、声をかけて名前を聞いてみるように言われて・・・やっぱり、あなたはシン・・シンさんなのでしょうか」

 

(誰かが、素性を知っているのか・・・)
シンは目の前のその子ではなくても、誰かが自分の事を知っていると確信し、すぐに答えた

 

「はい、そうです」

その子はそれを聞いて、少し安心したようだった

 

「見つかってよかったです、じゃあ、これを」

その子は、相手がシンである事が分かると、1枚の封筒をシンに手渡した

 

「これを、あなたに渡すように言われたので」

その封筒は古びて少しやれており、かなり年数がたっている代物だった
表には何も書いておらず、裏面は封をしないままで、サインだけがあった

 

ー SUNNYより ー

 

「サニー!あのサニーなのか?」

シンは驚いた
それは、自身の妹の生まれ変わりであるサニーからのものだった


もう、随分と昔に居なくなり、恐らく人の寿命であれば亡くなっているはずのその人からの贈り物だった

 

シンは古びた封筒の中身を、丁寧に、ゆっくりと取り出した
そこには、手紙ではなく1枚の写真だけが入っていた

 

「それ、写真っていうんですよ
昔、カメラで撮影したものを紙に印刷して残す事もしていたの」
その子は、シンが「写真」という物を初めて見たんだと思い、そう説明した

 

「そうなんだ、ありがとう」
シンはずっと、ずっと長い間生きているのでそれが写真とは分かっていたし、今の時代の人達にはそれが珍しい物だとも知っていたが、その子の親切が嬉しく、お礼をいった

 

「これは。。。」


シンはその写真をみて、そのまま黙ってしまった
写真には、居なくなった当時のサニーと、男がもう一人、映っていた
その男は、スカーフをしている

 

「<男の名>・・・」
(あいつも、そこに居たのか・・)

シンは片方の目から涙をこぼした

 

「あ、あの・・・大丈夫ですか」
女の子はそんなシンをみて、心配そうになっている

 

「は、はい、大丈夫です」
シンは涙を指で拭き、気丈に振る舞った
そして、写真をその子の方に向け、男の方を指さし

「遠い昔、行き違いになった奴なんです
一緒にずっと戦っていたし、王に会う前に別れてそのままだったので。。。」

(戦場?王??)
その子はシンの言っている事がよく分からなかったが、おそらく親しい人だった事は理解ができた

 

「きっとこの二人、付き合っていたんだと思うわ
だって、すごく仲よさそうだもの
どこかのカフェかしら。。。女性の方がきっと自分のスマフォで撮ったのね」

その子は二人に憧れるように、また、どこか少しうらやましい感じに言った

 

「この二人の事は、ご存じなのですか?」

シンは尋ねた

「私が知っている人に良く似ているのですが、、」

その子も半信半疑であった

「この写真、撮影されてから70年くらい経っているはずなので、人違いだと思うのですが」

確かにその写真は古く、映っている女性がシンが知るあのサニー本人なら、古いものだとしても当然だと理解はできた

 

「この写真はどうやって手に入れたんでしょうか?、ご存じですか?」

シンは聞いた

「いえ、私は何も
ただ、私の兄なら何か知っているかもしれません
あなたにこれを渡すように言ったのも、兄なので・・・」

その子が身内といった相手は兄であり、その兄から渡すように頼まれたと説明した

 

「もし、気になるようでしたらここへ来て下さい
きっと、兄が何か事情を知っていると思うので」

その子はそういって、ノートの端に住所と連絡先を書いてちぎり、シンに渡した

 

「その写真がとても大切な物だったのなら、渡せてよかったです
私はこれで失礼します」
その子はそういってお辞儀をして、シンと別れた

 

シンはその子に手をふって別れた後、そのまま暫く、ずっと写真を見ていた

 

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