トッケビ2次続編2 第20話 再誕

シンは地面に片膝をつき、剣の先から神父の目へ視線を変えた
 
「冥土の土産? 残念だが、俺は死んでも他と行き先が違うんだよ」
シンは一度、剣を抜かれた時、その先で見た景色が暗く、何もない場所である事を思い出して言った
 
「ああ、知っているさ、俺も一度いったことがあるからな・・」
神父も前世でトッケビであった頃、サニーにのどの剣を抜かれた時に通った場所の事だったからだ
 
神父は続けた
「その先にあったんだよ、冥土が
それなのに、お前はそこに行く前にこっちへ戻ってきてしまったんだ
花嫁のために・・・」
 
「・・・」
シンは黙っている
 
「だから、やり直すんだよ
これでお前がトッケビに戻れば、また、花嫁を探して抜いてもらえばいいさ
そして、それのまま帰ってくるんじゃないぞ」
神父は少し優しい口調だった
 
「また、花嫁が見つかるかどうかわからないじゃないか」
シンは答えた
 
「はは、なんども言うがお前だって期待しているんだろう?俺の妹が花嫁であることを、それに彼女の生まれ変わりであることを」
 
「・・ああ、、」
 
「なら、そこからはじめたらいいさ、あいつは、、俺の妹は、前世から何代でも、ずっと俺の妹のはずなんだ・・」
神父は少し涙ぐんでいるようにも見えた
 
「だから、誰よりも、お前のことを愛しているはずなんだよ・・・
そうさ、間違いないさ」
神父はそういうと、あらためて剣を強く握り、少し引いて勢いをつけて突き刺そうとした
 
「そうか・・・そういえば、俺は以前、お前のいうことを聞かずに王の前に出て、仲間・家族・・皆殺しにあったんだったな」
シンは後ろを振り返り、慰霊碑を見て言った
シンは顔を神父の方へ戻した
 
「分かったよ、もうこの状況じゃあ、どうしようもなさそうだな
今回はお前の言う事を聞くよ
こんなことなら、お前に勝てるようにもう少し鍛えておくべきだったよ」
シンは冗談をいう余裕が出ていた
 
「・・・ああ、そうだな」
神父は悲しい気持ちもあり、愛想笑いで答えた
 
神父は剣の面を上にして、平らになるよう持ち替えた
シンの胸に剣を刺す時に、肋骨の間を通すためだ
 
シンは目を閉じた
 
「さあ、また始まりだ!」
神父はそういうと、剣先をシンの胸へ当てて、そのまま体重をかけながら剣を押した
 
「!!グァ・・・・」
シンは痛みに声が出そうになったが、歯を食いしばり耐えているようだった
それは、神父に苦しみを気づかせないようにしているようだった
 
神父もそれを察し、早く楽にしてやろうとそのまま剣を押した
勢いのある血しぶきが、神父にもふりかかる
 
「??」
 
神父は剣の手応えに違和感を感じた
(どういうことだ?)
突き刺そうとしている剣自身が、押し返してくるのだ
剣が自身のその意思で、シンの胸に刺さる事を拒んでいるようだった
 
その時、シンは剣の柄を持つ神父の手を両手でささえ、そのまま自分の方へ引き寄せ、
 
「迷うな!」
 
口の中の血をはきながら、そう言った
 
神父はほんの数秒、頭の中が真っ白になっているような感覚でいたが、
シンの一言で我に帰ったようだった
 
「これは予想外だった・・
以前、俺が剣を抜いてもらった時は刃を握るサニーの手にこの手を添えた
今度は、刺すために人の手を借りるなんてな・・」
神父の頭にサニーの事が少しよぎった
 
「ああ、俺が迷っちゃ、どうしようもない!」
そういって、剣と張り合うように力を入れていった
 
「こ、これで・・・」
神父はさらに力をかけ、剣の半分以上がシンの身体に入っていった
 
「ッ痛!!」
 
神父は手のひらに痛みを感じたその瞬間、後ろに飛ばされた
それは、大きな風に突き飛ばされたようだった
柄を握っていた手のひらを見ると、火傷を負っていた
 
(シン、、、)
 
シンは気を失っている
 
胸にささったその剣は、青白い光を帯び始めた
剣先をつたって地面に落ちていたその血が、巻き戻しのように逆流し始め、神父についていた血しぶきも剥がれるように地面に落ち、そのままシンの胸にささっている方へ向かい、剣に吸い込まれていった
 
血がすべて戻り出血が止まると、剣のその青い光はシンの身体を包み込んだ
シンは両膝を地面についたまま、全身に力が入った状態で胸をそって天を仰いだ姿勢になった
その時、あたりは一瞬暗くなり、空から一筋の大きな落雷のような光がシンに落ちてきた
 
青い炎のような光の中で胸の剣は消え、シンはそのまま地面に倒れこんだ
 

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